治療後の反応について
治療後の反応としては、
- 「症状が軽くなった」
- 「痛みの変化が無かった」
- 「痛みが一時的に増した」
という3つがあります。もちろん治療家としては軽くなってくれた方がありがたいですし、そういう方が多いですが一筋縄ではいかない事もあります。
では治療後に「痛みの変化が無い」のは何故でしょうか?
治療家が下手だからでしょうか?
それとも患者さんの症状が重く、原因の根が深いからでしょうか?
人の身体はまだ未知の部分が多いので、あくまでこれは私の仮説であることをご了承下さい。
全ての人は自分で治ろうとする力、「自然治癒力」を持っています。ステーキをナイフで切っても、その切り口がくっ付くことはありませんが、人が包丁で指を軽く切ってしまっても、時間がたてば傷口はくっ付き治っていきます。これは自然治癒力によるものです。
患者さんは身体のバランスが崩れることにより、自然治癒力が低下して症状が起きているわけですから、先生がしていることというのは、そのバランスを整えることにより自然治癒力を高めるためのスイッチを入れることなのです。
例えば部屋がもの凄く寒い時にエアコンのスイッチを入れたとします。ではスイッチをいれて5秒後に部屋全体がいきなり温かくなるでしょうか?それは世界一性能の良いエアコンでもそれは不可能です。スイッチを入れてから部屋全体が温かくなるまでは、それなりの時間を要します。それは人の身体でも同じことなのです。治療直後は痛みなどが残っている場合でも、一晩くらい経過したほうがかえって良い結果が出ることが多々ありますので、一日様子を見て頂きたいのです。痛みや症状は身体の歪みが原因であることが多いですが、身体の「歪みが取れる」ことと「痛みが取れる」ことにはタイムラグ(時間差)があることを知っておいてください。
次に治療後「痛みが一時的に増した」ケースです。これは先生が荒っぽい乱暴な治療をした場合だけではなく、医学的整合性があり正しい治療をした場合にも起こります。これは身体の悪い状態(骨が歪んでいる・筋肉が硬くなっている・神経の流れが悪くなっている)を一度壊して、良い状態を創り上げていくのが治療なので、このような反応が起こることが考えられます。これは筋トレと同じ原理です。バーベルを持ったり、腕立てなどの筋トレは身体に負荷をかけることにより、筋繊維を意図的に破壊しているのです。その筋繊維が新しく強く生まれ変わることによって筋力がアップしますよね。その過程で程度の差はありますが筋肉痛が発生します。この筋肉痛は不快なものではありますが、けっして悪者ではありません。なぜなら弱い筋肉から強い筋肉に生まれ変わるためのプロセスだからです。治療においても「痛みが一時的に増す」というのは、より健康な身体に生まれ変わるためのプロセスと御理解下さい。この「痛みが一時的に増す」のも、治療を積み重ねることにより、この痛みは弱くなりますので御安心下さい。なおこの場合には運動、入浴、飲酒は控えて頂き、安静にすることが大切です。
ちなみに私は治療後に患者さんに「どうですか? 楽になりましたか?」ということは一切聞きません。それは上記の理由であるのは勿論ですが、患者さんに気を使わせて「ハイ、楽になりました」と言ってもらうのが嫌だからです。以前このようなことがありました。
私がある治療術のセミナーの見学をした時のことです。私は友人の誘いでその治療術を見学したのですが、その治療術の先生が治療の見本を皆に見せるというので、私が患者役になったのです。その先生が数秒私の身体にサッと触れて、「どう? 楽になったでしょ?」とドヤ顔で聞いてきたのですが、正直私には治療効果がサッパリ解りませんでした。しかしその先生の顔を潰すわけにはいきませんし、多くの受講生の目もあるので、「ハイ、楽になりました」と言いました。いくら非常識な私でもそのくらいの社交性は一応、身を付けているつもりですが、これでは楽になったと「言わされた」というのが正しいかもしれません。この経験から患者さんにこちらに気を使ってもらって「楽になりました」という社交辞令を言ってもらうのが嫌なので、あえてこちらからは何も聞かないようにしているのです。まぁ最終的には、その患者さんが日常生活で痛みを感じる頻度が減ってくれればそれで成功なのでは?と個人的には考えています。
オマケとして先程の治療術の先生のデモですが、仮に数秒身体にサッと触れて症状が良くなったとしたら、逆もまた真なりで満員電車の中で一駅分もみクシャにされたら元の木阿弥になる可能性もあるということです。そう考えると穿った見方かもしれませんが、その場ですぐに良くなるというのは、実はぬか喜びで何かあるとまた直ぐに悪くなるかもしれないことと表裏一体なのかもしれません。
いかがだったでしょうか? 上記の文章を見ると、治療後の反応における先生の評価として、
「症状が軽くなった=上手」
「痛みの変化が無かった=下手」
「痛みが一時的に増した=ヤブ」
と単純に決めつけることは出来ないという事です。あと治療直後に首や腰を変な方向に曲げて痛みが軽減しているか確認する人もいるのですが、これは自分で自分の身体を歪ませることになるので絶対やらない方がよいです。まるで今まで苦労して作ったドミノを故意に倒してしまうのと同じで、再び作り直しすることになります。
決して安くはないお金を払って整体を受けたのだから、それなりの治療効果があってほしいという気持ちも理解できますが、人の身体は単純ではない事もご理解下さればと思います。
治療後の反応に一喜一憂することなく、全ての人は自然治癒力を持っているので、それをリスペクトすればあなたが笑顔になれる日は必ず来ます。
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