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ゴッドハンドの功罪

整体の世界にもゴッドハンド(神の手を持つ男)と呼ばれる人がいます。私もあるゴッドハンドと呼ばれる方のセミナーに参加したことがあります。その先生は著書も何冊か出しており、TVにも出演された方です。私がその先生に「患者さんが殺到して羨ましいですね」とお話ししたところ、返ってきた答えは意外なものでした。

「いや~、多くの方が来院して下さるのは有難いのだけど、皆さん私が治療するとどんな症状でも一発で治るものだと思っているんだよ。その場で痛みが取れなかったり、変化がなかったりすると怒って帰る人や、酷い人だとクレームを叫んで医療器具を蹴飛ばしていく人もいるんだよ」

ゴッドハンドそのゴッドハンドの先生はTVに出演して患者さんやタレントの痛みをその場でとる風景がオンエアされていますので、それを見て「俺(私)も一発で何とかしてもらえるかもしれない」を思って治療を希望される方の気持ちは非常によくわかります。しかしそのTVでオンエアされた「その場で痛みがゼロになった方」というのは数多くの患者さんの一部が放映されている可能性も高いかと思いますし、TVなので多少の演出が入っていることも多々あります。
結局私が何を言いたいのかと言うと、ゴッドハンドであれ優秀な治療家であれ長年の痛みや難しい症状を改善させるには、やはりそれなりの時間や回数が必要になるということです。整体は普通の人間が手を使って行う行為です。決して神様や魔法使いではないわけです。例えどんなに脚の速い人でも新幹線より速く走ることが出来ないのと同じです。 治療家である以上、「自分は治す実力がある」事や「他の治療院より整体技術が優れている」ことを謳いたいものです。それは私も同じです。そうすれば多くの患者さんに来院して頂けるからです。しかしそれを強調しすぎてしまうと「どんな症状でも一発で何とかしてもらえる」の様な短絡的な考えを持った方を数多く引き寄せてしまうのもまた事実です。
ゴッドハンドでは当院ではどうなのか?
私が治療やサービスで心掛けているのは「最高の普通」です。腰痛や肩こり等の症状の改善にはオセロゲームでいう四つ角の様に必ず押さえなければいけないポイントというものが存在します。そこを確実に治療して、後は患者さんがノンストレスで整体を受けられる様に症状説明やカルテの送付、アフターフォロー、清掃、挨拶、コミュニケーション等をしっかり行う事を意識しています。
華麗なプレーで魅せる野球のイチロー選手が言った言葉が以下です。

「びっくりするような好プレーが、勝ちに結びつくことは少ないです。確実にこなさないといけないプレーを、確実にこなせるチームは強いと思います」

この様な文章を書くと、「なぁんだ、一回で治らないのだったら行くのは止めておこう」と言う人も出てくるかと思います。つまり「新規で来院される患者さんの減少」です。しかしこれを読んだ「一定の割合の方の治療に対する意識の向上」を期待することが出来ると信じてこれを書いています。つまり 「新規の患者さんの人数の減少」と「患者さんの意識の向上」という二律背反の状況下で「新規の患者さんの人数の減少」×「患者さんの意識の向上」の積を最大化させる。 つまり、「新規患者数の減少を補って余りある、患者意識の向上」が出来ればと思っています。
今あなたが抱えている症状は長年の生活習慣が積み重なって起きています。 例えばどんなに素晴らしいダイエット方法だとしても、いきなり3日で10キロ痩せることは出来ません。 また「年収一億円」という本を読んだからと言って、来年から年収一億円稼ぐのは難しいのと同じです。
ゴルフではホールにいかに少ない打数で入れられるかを競うわけですが、どんなに優秀なゴルファーでもホールインワンを連発することは不可能ですよね。
ただ私は、
「私が治すことが出来ない症状を他に治せる治療家なんて、この日本に存在しない」
「当院よりも早くあなたの症状を改善させられる治療院なんて、この世に存在しない」

常にこのような気概を持って整体を行っています。

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