施術部位数と施術効果
当院では限られた時間で施術を行っていますので、1回の施術で対応できるのは2~3部位までとなります(症状にもよります)。特に辛い部分から優先順位をつけて頂き、①②③番目の主訴に対応していく形となります。
ここで大切なのは、「主訴の限定」です。
例えば、ある患者さんが、腰・膝・足首が痛くて、それに対応した施術を行っていたとします。そこで、その患者さんが
「先生、実は以前から耳鳴りも気になっていて、そちらも診てもらいたいんだけど」
と言ってきた場合にはどうするか?
もちろん、訴えは聞きますが基本的には「スルー」となります。なぜなら、現在下半身を中心に施術を行っているのに、いきなり耳の症状にも対応するとなると、限られた時間を耳に割かなければいけないので、本来の主訴である腰・膝・足首の回復が非常に遅くなるのです。結構、こうした後出しジャンケン的なことを言う方は、特に中高年の女性や自律神経失調症・うつ病の方に多くいらっしゃいます。
しかし、広く浅くの施術を行って、第一、第二主訴が改善されなかったら、そもそも本末転倒ではないでしょうか?
これは会社での会議を想像して頂ければわかりやすいと思います。例えばAとBの事案について話し合っていて、それが全く解決していないのに、いきなりCやDの話題を真剣に話始めてしまう。これだと、まさに「怪議」ですし、井戸端会議と大して変わりません。
また多くの部位に対応するという事は、それだけ身体への刺激量が増えるため、施術後の筋肉痛やダルさ等の反応が多く出る可能性が高まります。
また、主訴①腰、主訴②膝で施術を行っていて、
「最初は痛みは腰が一番辛かったが、今は膝の方が辛い。膝に痛みが移ったみたいだ」
という方がいます。
これについては2つの解釈が出来ます。
ひとつは痛みとは相対的なものであるということです。
例えば、最初に「腰の痛みが10」で「膝の痛みが8」だったとします。その後、腰を中心に施術を行い「腰の痛みが3」て「膝の痛みが5」になると、今度は膝の痛みの方が大きく感じられるようになるということです。
もう一つは施術により身体のバランスが変化していくことにより、痛む位置が変わってくるのですが、逆に言えば痛む位置が変わってきているということは、身体のバランスが変化して来ているというサインなので、施術効果がキチンと出ているという証拠であるということです。
どの部位を第一主訴に持ってくるかは、なかなか難しい判断であると思います。基本的にどんな症状でも最近起きた痛みは早期改善が可能ですが、長年の症状はそれなりの期間や施術回数が必要になるからです。また、症状によっても掛かる時間や手間がかなり異なるのも事実です。
当院での対応症状で順番に言いますと、
- 四十肩・五十肩
- 顎関節症
- 脊柱管狭窄症
この3つが時間・手間のかかるトップ3であると考えています。
また、どんな症状でも「チャチャっとやって直ぐ改善」というのは、まず無いと思った方がよいでしょう。よく治療技術の勉強会でも、「ちょっと触れただけで痛みが改善!」というものもありますが、それは「逆もまた真なり」で、満員電車で患部をちょっと押されたり、軽く患部を捻っただけで直ぐに悪化することを意味していると考えています。
本気で症状を改善させようと思ったら、それなりの手間と時間は掛かるものです。ただ、施術においては「ボーリングのセンターピン理論」的な部分もあります。ボーリングでセンターピンにボールを上手く当てることにより、他のピンも綺麗に倒すことが出来る。このセンターピンを「第一主訴」と考えるのです。この第一主訴を上手く改善させることにより、第二・第三・第四主訴も連鎖的に改善させることも出来たりします。
そういう意味でも症状が多くある方にとって、「主訴の限定」は必要不可欠なことであると信じています。
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