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神対応は両刃の剣

最近ネット上で話題になっている神対応という言葉があります。芸能人や企業の対応が素晴らしく、配慮に満ちたものであることを称賛する時に使われます。ただ、この神対応も場合によっては両刃の剣となる可能性があります。

東京ディズニーランド幹部社員のお話

東京ディズニーランド私が以前、東京ディズニーランドの幹部社員にお話を伺ったことがあります。東京ディズニーランドには年間約5000通の手紙が届きます。そこにはパレードやショー、キャストの対応に感動したという感謝のハガキから、リクエストやクレームまで様々です。
ただ「このクレームの内容で一番多いのは何か」と、その幹部社員に聞いたところ、次の答えが返ってきました。
「あるアトラクションでキャストのAさんがお客様の対応をして、それがとても素晴らしくて感動した。そのお客様が再びAさんに会うために後日そのアトラクションに行ったのだが、違うキャストのBさんが対応して、それがAさんの様な素晴らしいものではなくガッカリした。」というものです。
話を聞く限りですと、確かにAさんは神対応で素晴らしかったかもしれませんが、それはAさんの素質やホスピタリティがなせる技だったかもしれません。それかたまたまお客さんがそれほど多くなかったので、余裕をもって対応してもらえたのかもしれません。ただそれがどんな時でも、他のキャストでもできるという「再現性」がないと、こうしたクレームやトラブルに発展することが起こるというお話しでした。

整体院における神対応

整体院における神対応ですと、以前他院の口コミでこのような文を読んだことがあります。「あそこの予約制の整体院に、診療時間過ぎているにも関わらず予約なしで行って診て貰えた。院長の神対応に感謝!」
診療時間と休診日確かにこの院長の対応は素晴らしいと思いますし、予約なしで時間外に来た方を受け入れるかどうかは院長の裁量で決められます。ただこの患者さんは予約制の院にも関わらず予約なしで来院し、診療時間が決まっているにも関わらずそれを無視して来院しているのです。その方の症状にもよりますが、ルールを守れない方を受け入れて称賛されるのも如何なものかと松永は考えます。昼休みの時間に診て貰いたいと希望する人がいます。ただこの昼休みも、一般的に先生はただスマホをいじって遊んでいるわけではなく、午前中来院された患者さんのカルテの記入や事務仕事、院内の清掃、午後の診療に備えて少し身体を休める、といったことにあてているケースが殆どです。それを神対応で昼休みでも構わず患者さんを受け入れてしまうと、休憩時間が少なくなって身体が疲弊して倒れることになるかもしれません。夜でも診療時間が過ぎているにも関わらず患者さんを受け入れることを続けていると、当然ながら帰宅時間が遅くなります。家族がいる先生ですと、それが続けば家族と過ごす時間が少なくなり、家庭がギクシャクすることにつながるかもしれません。つまり神対応が仇となるのです。
神対応も常にそれが出来るというのであれば素晴らしいことですが、診療時間外の治療でも「今日は無理です」とお断りすると、「なんで前回はOKだったのに、今回はダメなんだ」と逆ギレする人がいます。だったら最初からすべきではなかったのです。当院でも余程緊急の場合や、GW・お盆・年末年始などの大型連休の前後で予約枠が少ないときに限って、診療時間外でもご予約を受け付けることがありますが、それ以外では全てお断りしています。当院は2017年2月現在、月曜~土曜まで終日診療しておりますので、その時間帯に来ることが出来ない人は、そもそもその人が悪いか、当院とは御縁がなかったと考えます。

サービスの軸と輪

医療を含めたサービスには、サービスの軸と輪と呼ばれる部分があります。
軸とはそれがなくてはサービスが成り立たなくなるもの。
輪はその軸の周りにある付随するものです。
例えば鉄道会社におけるサービスの軸とは、「電車が時刻どおりに発着する」や「事故を起こさず安全運転である」「電車内が綺麗に清掃されている」などが挙げられます。輪の部分とは「スタンプラリー」や「親子での電車の整備工場見学」「クリスマスやバレンタイン等のイベント時の電車の内外装の変化」といった絶対必要ではないけれども、あると楽しい部分です。
軸と輪整体院におけるサービスの軸とは…

  • 短期間で症状改善できる的確な治療
  • 解りやすい症状説明
  • 院内が綺麗に清掃されている
  • (予約制なら)患者さんをお待たせせずにご案内できる

以上のようなことが考えられます。
世間で言う神対応とは、どちらかというとサービスの輪の部分を指していることが多い気がします。神対応、神対応とあれこれ言う人間に限って、「では、その神対応をしてくれた方にお礼状や差し入れをあげたりしましたか?」と聞くと、99%の人は「No」で、ただ単に人の善意を搾取しているだけの人が殆どです。
イチロー選手「神対応」や「感動経営」は百歩譲って非日常を売るテーマパークや高級ホテルでは成り立つのかもしれませんが、日常を売る整体院においては相応しくないと松永は考えております。整体院は基本的に症状改善まで数回の通院を必要とするケースが大半ですので、通院の度に「驚愕の治療効果」や「神対応」「浪花節」「感動経営」「伝説のサービス」等を毎回感じて頂くことは不可能であるからです。私が敬愛するイチロー選手が次の名言を残しています。

「びっくりするような好プレーが、勝ちに結び付くことは少ないです。確実にこなさないといけないプレーを確実にこなせるチームは強いと思います。」

当院では毎回できるかわからない神対応よりも、
「最高の普通」という名のサービスの軸を何よりも大切にしております。
患者さんがストレスを感じることなく整体を受けることができること。
「今日も行って良かった」とほんのり思って頂けること。
これらを積み重ねていくことが最終的には多くの方の支持を得られると私は信じています。

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