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レス・イズ・モアの法則

整体院で治療をしていると、様々な患者さんに出会います。その中で多いのが

治療時間は長い方が得で治療効果が上がる。
短いと効果も下がり損した気分になる。

というものです。おそらくクイックマッサージなど○○分□□円という時間制の施術を受けたことのある方が多いので、こういった考えを持たれているのではないかと思います。
ここで「レス・イズ・モアの法則」を紹介します。アメリカでは「少なければ多くなる(Less is more.)」という法則がよく使われ、人生訓となっています。
物事をシンプルにすれば、「減る」のではなく、むしろ「増える」という意味だが、増えるのは量ではなく、その価値なのです。以下に幾つか例を紹介します。

  • 自宅に要らない物や殆ど着ない服などで埋もれている部屋があったとします。
    大田区では6畳のアパートの家賃は約6万円ですが、ガラクタや殆ど着ない服で仮に1畳分のスペースを占めていたら月1万円分のスペースを無駄に使っていることになります。
    そこで要らない物や着ない服を処分して、本当に必要なものだけ残せばその1畳(1万円分)を有効に使えるし、お気に入りの服だけを頻繁に着ることにより気持ちも豊かになります。更に何か物を探すときにも直ぐに見つかり、時間の節約にもなります。
  • 一蘭福岡発のとんこつラーメン専門店に「一蘭」というお店があります。
    普通ラーメン屋さんというと醤油、みそ、塩、とんこつ等様々な味があり、更にチャーハンや餃子をメニューに追加することにより多くの方のニーズに応えようとします。
    しかしこういうメニューの多いラーメン屋さんはどれも味が中途半端で大抵繁盛していない事が多いのです。 一蘭ではメニューがとんこつラーメンのみで、材料と労力と時間を全てとんこつラーメンに投入して「とんこつラーメンを世界一研究する会社」と宣言しています。
    なので味はとても素晴らしくて多くのお客に支持され、今日本で一番成長しているラーメン屋さんと言われています。
  • 「結婚式のスピーチ」「全校朝会での校長先生の話」「上司の説教」「忘年会での社長の乾杯前の話」これらに共通することは「長い、退屈、頭に内容が殆ど残らない」ということです。話が長ければそれだけ多くの内容が相手に伝わるだろうというのは大きな勘違いで、「結局何が言いたいんだ!」と叫びたくなることが多々あります。
    例えば卒業式の校長先生の挨拶でも「桜舞うこの春風の・・・」「これからの激動する時代は・・・」「若い可能性を十分生かして・・・」「いよいよ大人の仲間入りと・・・」「本校で学んだことを十分に・・・」「体育祭、文化祭をはじめいろいろな行事・・・」「諸先生方の親身の指導により・・・」などグダグダ長い話をするより「おめでとう。大きく羽ばたいてね!」と短くバシッと決めた方が好印象であり受け手の記憶に残りやすいです。
  • ランニングシューズ最近スコットランドの学者が行なった調査によれば、ランニングシューズについて1足80ドルから150ドルまでの3種類の銘柄の特性を調べたところ、低価格の商品は高価格のものと比べて何ら遜色なく、場合によっては低価格商品の方がよい評価を得たという。
    高額なお金を払えば、より優れた商品が得られると思いがちだが、その先入観は捨て去れなければならないと主張している。シューズ・メーカーは改良クッションなどの工夫に加え、足や膝への負担を軽減して怪我の防止になると謳い、高値で売っているが、2009年の統計によればそのようにシューズに改良を加えても、怪我の度合いは減少していないという。
    何も有名メーカーの宣伝する特性につられて高価なシューズを買う必要はなく、安価品で十分間に合うとしている。

いかがでしょうか。上記の文章を読んで頂ければ「Less is more」の意味が分かって頂けるかと思います。
冒頭の話に戻りますが、治療効果を高めるのにある程度の治療時間は必要ですが、時間に比例して効果が高まるわけではありません。仮に美容院でカット、シャンプー、セットに1時間かかったとして、それを倍の2時間かけて行ったからといって仕上がりが2倍良くなるわけではないのと同じです。
歯車治療というのは「歪んでいる・筋肉が硬くなっている・神経の流れが悪くなっている・血液の循環が滞っている」という身体の悪い状態を一度「壊す」行為でもあります。この「壊す」が多くなれば身体にそれなりの負担はかかります。
しかし、物事を単純化するには、あらゆる虚構や誇張を取り去って、本質やエッセンスに絞り込む必要があり、口で言うほど簡単ではありません。
例えば腰痛の治療といえば腰の筋肉をほぐしたり、腰椎(腰の骨)骨盤の歪みさえ整えればいいだろうと思われがちですが、人間の身体や関節は歯車が重なりあっているようなものです。首の骨の不具合が腰に影響している事だってあるわけです。そこをしっかり見極められることが治療家の実力と言えます。
この「Less is more」は非常に奥が深い話です。治療に限らず人生の様々な場面で応用できる黄金の法則と言えますね。

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