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出藍の誉れ

猿真似この世界にいると、治療技術を教えて下さる師匠を持っている先生が多くいます。その先生の治療技術を見せてもらう機会も多くあります。
ある手技を行っている時に私が「その技は何の為にやっているのですか?」という質問をすると、「いや良く解らないんだけど、師匠がこうやっていたから、同じように真似してやっているんだ」という返事が返ってくることがあるのです。確かに師匠の教えを忠実に守ることはとても大切なことですが、何も考えずにサルマネしているだけでは、師事しているとは言えないような気がするのです。
私は治療技術を師匠筋の先生から教わるときには、必ず
「何故この技を、この力加減で、この方向にかけて行うのか」を深く理解するようにして、解らない部分は必ず質問するようにしています。
更に「師匠筋の先生を何としてでも越えたい」という思いを持って精進しています。コピー機「師匠を越えたい」と書くと、何だか生意気で不遜な人間に見られるかもしれません。特に上下関係を大切にする日本では尚更です。しかし師匠がいて、その弟子が師匠より劣っていたらどうでしょうか? おそらくその弟子の後輩も更に劣ることになります。
コピー機でコピーのコピーを繰り返していくと、画像が劣化していくのと同じで、ただ単に師匠のサルマネをしているだけでは、最終的にはその業界が衰退、縮小していくことは目に見えています。師匠も弟子が自分の真似をしているだけで、小さくまとまってしまったら嫌だなと普通は思うはずです。
それを防ぐために私は3人の先生から治療技術を教わるようにしています。なぜなら1人の先生からだけ教わると、技術に偏りが生じますし、その先生が勘違いして理解していることもあるからです。
見方の違いがわかる図このイラストを見て下さい。Aの方向からみると○は4本に見えますが、Bの方向からみると○は1本にしか見えません。Cの方向からだと2本です。ここでBの○が1本という見方だけしか出来ないのは、とても危険なことであると私は考えています。
腰痛や肩こり等、整体院での適応症状というのは、曖昧なものであり、捉えどころがないものであり、正確な治療理論が確立されていない部分が多くあります。例えばある症状を治すのに、ある先生は「この部分の骨を押す」、別の先生は「この部分の骨を引く」という、全く正反対のアプローチをすることがあります。また腰痛を治すにしても、ある先生は「骨盤を調整する」ことを最優先に考えることもあれば、別の先生は「第一頚椎(首の一番上の骨)を矯正して、それで終わり」ということもあります。それでその両方の先生は結果を出しているので、どちらが正しくてどちらが間違っているというものではありません。
つねに一つのやり方にこだわるのではなく、違った見方を採用するのも深く理解するのに大切なことです。「3人寄れば文殊の知恵」という言葉もありますし、医療でもセカンドオピニオン、サードオピニオンを聞いて、どの治療法を採用するかを決めるのも一般的になってきました。あと最近ではプロ野球の2016年で「神ってる」強さを見せた広島カープです。広島カープでは打撃コーチを球団史上初の3人体制にしたことにより、選手は多角的に細かい打撃指導を受けられるようになり、打率・本塁打・得点・盗塁数で12球団トップになり、25年ぶりのリーグ優勝したのは記憶に新しいですね。
3つの視点師匠を超えるというのは、言葉でいうのは簡単ですが実際はとてつもなく大変なことです。師匠の背中はとても遠いところにあり、それに追いつくだけでも必死です。
しかし越えようと頑張らなければ、前述したとおり業界の衰退につながりますし、何より成長した自分の姿を見せられないのは辛い事です。
「師匠モドキ」や「師匠劣化版」で満足するのではなく、私は3つの視点を持って「出藍の誉れ」を果たせればと思っています。1つの視点だけでは点で終わってしまいます。2つの視点だけでは線です。しかし3つの視点を持つことにより面になり無限の広がりを見せることができるのです。
決して「いいとこ取り」をするつもりではありませんが、狭い視野に陥るのではなく、様々な角度から物事をとらえることは整体に限らず、人生全般において非常に重要であると私は信じています。

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