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時には撤退も、また勇気

病院当院は様々な症状の方が来院されます。疲労性の肩こり、腰痛など割と簡単な症状を治していると、「ライフエイドだったら、このどこに行っても治らない難しい症状を何とかしてくれるかもしれない」と思って、重症の患者さんを紹介されることがあります。
また当院のHPには様々な症状の対処法について書いてあるので、それを頼りに来院される方も多いです。
ただ残念ながら、私の能力にも限界というものがあります。難しい症状はやはり難しいですし、どうにもならない事はどうにもならないのです。
私は問診時や、または何回か治療して、「これは当院の範囲外だな」「これは骨や筋肉の問題ではなく、別の原因が考えられる」と判断した場合には、直ぐに医療機関に送るようにしています。
何故当院はそのような対応ができるのか? 理由は2つあります。

理由1
松永は様々な治療法の勉強会や研究会に出ているので、どんな患者さんが来院されても冷静に対応が出来ます。ただ多くのことを学んでいる分、自分の能力の限界や当院で採用している治療法の弱点についても把握しているつもりです。今までの15年以上にわたる経験から、「これは下手に手を出したら地雷を踏むことになる」というのが分かるので、あえて火中の栗を拾いに行くことはしないのです。
ドクターXの大門未知子の様に「私、失敗しないので!」と患者さんに言って毎回治療を成功できたらカッコいいですが…。
理由2
お陰様で当院は多くの方が来院されていて、経営状態としても良好です。ですので、患者さんを医療機関に転院させることによって、別に当院の経営上のマイナスになるわけではありません。ここが非常に大切なところで、変な貧乏治療家のところに行くと「この患者さんを抱え込んで通院してもらわないと、今月の家賃が払えんなぁ」とかいったセコイ根性を持って治療にあたるので、治る可能性が殆どないのに通院を強要されるという現象が起こります。
医療である以上、患者さんに希望を与えることは大切ではありますが、「希望を与える」ことと「安請け合いする」ことは全く違うものです。

これらについて幾つかの例をあげて御紹介します。

ある女性患者さん(40代後半)が腰痛で来院されました。

痛くなったきっかけは良く解らないけど、腰痛が酷くなったので診てほしいとのこと。
私は骨盤や腰の骨の歪みを治したり、筋肉をほぐす治療を行いました。これを3回続けることにより、身体のバランスは大分整ってきたと感じたのですが、本人からは「全然痛みが変わらない」と言われたのです。
私の経験上、3回治療を受けて痛みが変化しない方は殆ど居ない為、かなり迷い悩みました。残りの歪みや筋肉の硬さが取れてくれば痛みは軽減すると考え、もうあと2回治療を続けました。
しかし症状に全くの変化が無いと言われた為、近所の病院で検査を勧めました。その結果、乳がんが骨盤に転移していて、それが痛みの原因だったのです。残念ながら、その患者さんはその数カ月後に他界してしまったのですが、その御主人様からは病院での検査を勧めてくれたことにより、病気が分かったので感謝されました。
もし仮に私がその患者さんを抱え込んで、「治療を10回、20回受ければ絶対治る!」と言っていたらどうでしょうか? おそらく病気の発見が更に遅れ、下手したら「適切な医療を受ける機会を奪った」として訴えられていた可能性もあります。

別のケースとしては椎間板ヘルニアがあります。

当院では椎間板ヘルニアに高い成果を挙げていますが、当然ながら全てのヘルニアの症状を治せるわけではありません。腰椎椎間板ヘルニアで脚の痺れがもの凄く強い方、腰の痛みが酷くてベッドにうつ伏せになれない方、仕事の関係で早期改善を望まれる方については内視鏡手術をお勧めしています。
手術というとやはり「怖い、傷口が大きく残りそう」というイメージを持たれる方が多いですが、最近の内視鏡手術は技術革新が素晴らしく、傷口も1センチくらいしか残りませんし、入院期間も数日という負担が少ないものになっているからです。
当院で腰椎椎間板ヘルニアの治療を受けると、6~8回(期間にして1~2か月)掛かるので、そういったことも患者さんにお話しして最良な決断をして頂くようにしています。

更に別のケースですが、当院では妊婦治療を行っています。

これはお腹が大きくなった妊婦さんの腰痛や肩こりを改善させるためのものです。ただ稀に妊婦さんから「私、逆子なんですけど治せませんか?」という依頼を受けることがあります。
逆子については当院は鍼灸治療をお勧めしています。当院の整体で逆子を治せなくはないのですが、治療の手法で患者さんをうつ伏せにしなくてはならないのです。それでは母体に負担がかかりますし、赤ちゃんをターンさせられる確率は整体よりも鍼灸の方が上のような気がするからです。
さらに整体での逆子治療を行うと、同時に腰痛や肩こりの治療が手法上出来ないため、患者さんの満足度や安全上の問題を考慮して、あえて逆子については鍼灸院を紹介しているのです。

 守備範囲如何でしょうか。当院で対応出来ないものは医療機関を紹介するというのは、なんだが自分の無力さや負けを認めているみたいで、情けないなという気持ちになることがあります。
ただ医療というのは野球と同じで守備範囲というものがあると考えています。例えば三塁側に飛んで行ったボールを一塁側の選手が取りに行ったらどうでしょうか?
それでは試合が滅茶苦茶になってしまいます。患者さんに医療機関を紹介するというのは適切な場所で適切な医療を受けて頂くのに大切なことです。これは決して責任逃れではなく、「時には撤退も、また勇気」と患者さんにとって何がベストなのかを考えながら臨床を行っています。もちろん、かなり難しそうな症状でも患者さんとの同意により、「まずは3回治療してみましょう。それで楽になれば当院での治療を継続、しかし変化がなかったら病院に行ってみて下さいね」と条件付きで治療をお受けすることもあります。

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